英語の語源本でおすすめを探している方の多くは英単語を覚えるためではないでしょうか?
確かに語彙数を一気に増やす、または見知らぬ単語の意味を推測するのに語源を学ぶのは効果があります。
特に勉強時間の無い社会人なら、そう考えるのも当然です。
しかしちょっと待ってください、語源を学ぶ利点は語彙力増強だけじゃありません。
それ以外にも英語を深く理解するためには欠かせない感覚が身につくのです。
英語の語源本でおすすめ|学習する意義と効果
英語の語源を学ぶことは、英語圏の人々の歴史や文化に触れるということです。
全ての単語は彼らの生活の中から生まれ、使われながら意味を変えていきました。
すべての意味に彼らの感情が詰まっていたはずです。
それを語源という歴史を追いながら感じることで単語が根源的に持つ強い意味・ニュアンスを身につけることができます。
単語の中には、そのニュアンスが現在に至るまで脈々と受け継がれているものがあります。
つまり語源を知ることでネイティブが持つ単語に対するニュアンスをつかめるのです。
また単語の暗記の面でも、単語の持つ歴史や他の単語との関わり合いの物語を読むことで、その意味を強く記憶に残すことができます。
英語の語源本でおすすめ|その1 英語の語源探訪―ことばと民族の歴史を訪ねて
ここからはオススメの語源本を紹介します。
一冊目は『英語の語源探訪―ことばと民族の歴史を訪ねて』です。
イギリスの歴史を古代からルネサンスまで追いながら、英単語がどのように生まれたか、その背景に迫ります。
語源に関しては人名や地名、さらには助動詞の由来までカバー。
著者は明治大教授の織田哲司氏、英語史および精神と言語の関係性について研究されています。
本書でも英語圏の人間が物事をどう捉えていたか、その結果どんな言葉が生まれたかについて詳しく書かれ、織田教授の研究の一端を垣間見ることができます。
人の精神性と言語の結びつきを語源で読み解く、稀有な視点の本です。
英語の語源本でおすすめ|その2 英語の語源 (講談社現代新書 480)
西洋文化と英語の関係性について理解を深めながら英単語の語源を探るなら『英語の語源 (講談社現代新書 480) 』です。
ギリシャ文化やゲルマン文化などの西洋文化において、生命や自然などをどう考えていたか語源を手がかりに迫ります。
西洋文化だけを取り上げるのではなく、大和言葉や漢字と比較することでより理解が深まるよう構成されています。
また語源から見た単語の関連性に関する解説が興味深く、単語の結びつきを学ぶことができます。
取り上げる単語の数は多くなく、また古い本ですが新書サイズで携帯性も良く通勤の合間に英語に関する造型を深めるには最適の一冊です。
英語の語源本でおすすめ|その3 英語の語源事典―英語の語彙の歴史と文化
英語が他の言語から受けた影響を知りたい場合は『英語の語源事典―英語の語彙の歴史と文化』がオススメです。
1章ではヨーロッパの言語における英語の立ち位置や他の言語との関係性を、2章では英語が形作られた文化と生活史を詳しく取り上げます。
英語が英語圏の民族以外の様々な民族の介入によって発展した言語であると、ご存知だったでしょうか?スタイリッシュなイメージを持つ英語に隠された血塗られた歴史も明らかになります。
さらに後半は英語圏民族の文化が英語に与えた影響についてロマンに満ちた解説を楽しめる。
438ページという大ボリュームで、物語を読むように語源を学べます。
英語の語源本でおすすめ|その4 英語語義イメージ辞典
英単語の、語源から現在の意味になるまでの変遷を知りたいなら『英語語義イメージ辞典』です。
単に語源だけを紹介するのではなく、どのような経緯で現在の意味に至ったか分かるので、単語の持つニュアンスをより深く理解できます。
解説されているのは基本単語約3000語、辞典にしては少ないと感じるかもしれませんが、そのぶん解説が詳しい。
特に複数の語義を持つ単語は、その意味の変遷を詳しく読めるので一度に複数の意味を覚えることができます。
無理な暗記ではなく一連の関連した語義の変化として捉えるので頭に残るのです。
収録される単語のレベルは英検2級程度、英単語の暗記に苦しむ高校生から、何となく単語を覚えただけで使いこなせない大人にまでオススメの「読む辞典」です。
英語の語源本はじっくり読むのがおすすめ
英単語の語源を調べると様々なストーリーに出会います。
生活の様子や、他民族との抗争や統治。
その全てが英語圏に生きた人々の紡いだもので、その人々に思いを馳せると彼らがその言葉を口にした時の感情を感じ取れるような気がします。
無機質だった英単語が心の一部になるような感覚、これが語源学習の最も優れた効果なのかもしれません。